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同時代の音楽論同士でツーショット

 

 

 


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ヨハネ讃歌とランゴバルト史。

どちらも日本語で読めるありがたい時代。

 

 


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画商ヴォラールが企画した『賽の一振り』は、作者の死の直前まで独特なレイアウトを中心に校正が行われ、ルドンの石版画も準備が進んでいた。復元されたヴォラール版がアメリカのタイポグラフィーを得意とするLucia Marquandから刊行された。フランス語版と英語版の2冊構成となっている。

 

 

 

 

空間の中の詩句

 

ヴォラール版復元の試みはこれが初めてでなく、フランスのLa Table Ronde(TR)から2007年に、Ypsilon(YP)から2010年に出版されていた。TR版は自筆原稿のファクシミリを含むが、やや小さな判型、YP版とLM版はほぼ同じ大きさ(LM版のほうが全長で5mm長い)、厚い紙を使用していてLM版は若干クリーム色になっている。TR版は行路社から日本語版が出ている。

 

 

左がYpsilon版

 

書体は作者により指示されていたので、YP版とほぼ同じであるが、行間や文字間が若干異なっている。

 

 

左がYpsilon版

 

 

「主」の登場、下がYpsilon版

 

LM版は末尾にルドンの石版画が収録されている。直前になって輸送中の事故で石版が失われ、4枚の予定が3枚となり、欠けた1枚の部分を新版では見開きで空けられている。ルドンの構想ではテキストと対立しないように着色した紙の使用を考えていたが、それは再現されていない。Ypsilon版では、子供を描いた石版画を表紙においている。

 

 

 

TR版には初出のコスモポリタン誌や校正原稿のファクシミリを収録している。縮小されているのが惜しい。

 


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Michael Fest

 

 


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今年の十五夜、浅草まで行ってお団子を調達してきたのに雨と雲で見れず、月なき月見となった。

 

鳥獣戯画の時代に現れたうさぎ、これがうさぎだったとはつい最近知った。

 

羽根うさぎ

 

鼻のあたりにうさぎの名残り

 

11時過ぎにようやく現れたお団子のような十五夜、浅草のお団子は既に食べた後だった。

 

 


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東方教会の精髄 人間の神化論攷 聖なるヘシュカストたちのための弁護

グレゴリオス・パラマス/大森正樹訳、知泉書館、2018年

 

 

東方正教会、しかもヘシュカスム論争に関連する神学書が出版されるのはとても珍しい。

 

神は存在しているものを超えるのみならず、神をも超えるものであり……

 

エックハルトも同じようなことを言っていた。

パラマスは1294年生まれ、エックハルトは1260年頃の生まれであるから、偶然にもほとんど同じ時代を生きていた。

 


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インマゼールと伊藤綾子のデュオで、ピアノは1877年製エラール(ブリジストン美術館所蔵、85鍵、7オクターブ)を使用している。ピッティーナにこのエラール・ピアノの解説と細部写真が出ていて、それをみると平行弦、3本の弦は独立して張られているようである。

 

当初は『海』のピアノ連弾を演奏するということでチケットを購入したが、その後変更されてしまった。

 

演奏作品は今年メモリアルイヤーのドビュッシーで、『忘れられた映像』と『喜びの島』はソロ、残りは連弾。

『小組曲』

作品自体に大して魅力がない(『夢』がいいという人にはいいかもしれない)。

 

『牧神の午後』への前奏曲(プログラムでは『牧神の午後への前奏曲』となっている)

作曲者によるピアノ連弾版で、この作品に限らず自作のピアノ編曲が多く、『ペレアス』も編曲している。

連弾版とは明らかに別の独奏があり、ドビュッシーはマラルメの前で弾いている。独奏版があったら是非聴きたいが、楽譜にはならなかったらしい。

 

もともとこの作品は劇として構想され、そのときの舞台美術をルドンが担当する案があった。その後、ニジンスキーのバレエでも再びルドンに打診されたが、ルドンは断り最終的にバクストが担当した。

 

ルドンに依頼がくるくらいであるから、この作品には明晰さの先にある曖昧さが必要であるが、ピアノ演奏ではそれほど現れず、単調になってしまった。

 

『雲』、『祭』

ラヴェルの編曲、ここというところで出遅れが目立った。

 

『祭の日の朝』

ドビュッシーのオーケストレーションを手伝っていたカプレの編曲、オーケストラはいい意味での悪ふざけがあるのにピアノ演奏では真面目すぎた。

 

インマゼールの『海』について以前の記事

 

オーケストラ演奏については期待外れだったので、ピアノに期待したが(ピオーとのドビュッシーの歌曲はそれなりによかった)、こちらも期待外れに終わってしまった。

 

エラールのピアノはとてもいい音だったが、演奏者は引き出せていない感じだった。

 


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『魔弾の射手』でドイツ「国民オペラ」らしいと思ったのは、登場人物のなかに森林監督官という役職の配役があることだった。ヴェネツィア共和国に「海の監督官」があったのと同様で、森が生活の多くを占めている。

 

 

著者はアイフェルのヒュンメルという所で森林管理官として管理している。場所を調べてみると、ミュンスターアイフェルの南10kmにある村だった。

 

ミュンスターアイフェルの森

 

ヨーロッパの森はブナのイメージ、それとは別に針葉樹が出すテルペンについて興味深い。

 

針葉樹はテルペンを発散する。テウペンとは本来、病気や寄生虫から身を守るためにつくられる物質なのだが、その分子が待機に混ざると湿気と結びついて凝縮する。その結果、普通の陸地の雲よりも2倍ほど密な雲ができる。この雲には二つの利点があることが知られている。まず、雨が降りやすくなること。そして日光の5パーセントを反射すること。おかげで、その地域の気温が下がる。涼しくて湿っぽい−–針葉樹が好む環境のできあがりだ。この仕組みが地球温暖化のブレーキとなっている、という説もある。

ポンプとしての森

 

森の葉っぱの数くらい知らないことは多い。

 

アイフェルの森

 

樹木は葉っぱを虫にかじられると周囲に警報を伝える、という一文があった。ちょうど植物で同様の機構を可視化したという記事が出ていた(National Geographic 9月14日版)。


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2巻本

 


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蜜蜂と遠雷

いつもなら読むこともないジャンルで、受賞作(本屋大賞受賞というだけで読む気がなくなるのはなぜ?)、しかも今頃読んだのは、たまたま目の前にあったから。

 

人気作で、ネット上では大絶賛が多く、「音楽がきこえてくるよう」という感想も多い。本当?

 

 

登場人物たちは、いかにもきちんとキャラクター設定しました感が強い。作品のなかで山場の作り方や流れもマニュアル的。

 

「信じられないようなフォルテッシモ」でピアニッシモを聴かせる発想、「神様から愛された」のに、誰一人として神様に返そうとしない、そんな演奏をバッハやグールドが聴いたら怒りそう。「遠雷」が暗示する深さや深淵が全くない。

 

作者は「音楽を言葉で表現する」というテーマに挑戦したと(TV番組のインタビューで)語っているが、後半に進むにつれて音楽の記述が平凡になっていき、熱が入らなくなっている。コンクールだったら一次予選で敗退するレベル、この500ページの大作よりも短編の『ノヴェレ』や『青い花』のほうがずっと音楽そのものが感じられた。例えばこんな文章、

 

ショパンのバルカローレ ほとんどあらゆる状態と生き方がある至福な瞬間を持つものだ。……この至福な瞬間をショパンは舟歌のなかで見事に鳴り響かせたので、神々すらもそれを聴けば、長い夏の夜にゴンドラのなかに身を横たえたくなるであろう

漂泊者とその影 160

 

演奏中に宇宙を漂う場面は、ラッセンの絵(宇宙空間を泳ぐイルカ)を思い出した。異次元空間が出てくるのだからこの小説はライトノベルに分類される。実際にコンクールで優勝経験のある人が小説を書いたら、まるで違ったものになると思える。

 

架空の作品『春と修羅』、ヴァントゥイユのパロディ?

 

亡くなられた末吉先生がパリで審査員をつとめた音楽コンクールでの苦労を語られたことがあった。時差ぼけのまま、一日中同じ曲目で同じような演奏を聴かなければならないので眠くて仕方ないのに、眠ったら演奏者から「先生あのとき眠ってましたね」と一生言われるから眠れないのがとにかく辛いということだった。

 

超人的努力で聴き通した審査員も表彰したほうがよい。

 

『4分33秒』を課題曲にするのがいいかも。というより、作者の考えに最も近い作品に思える。


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