四面いっぺんに見るには


修道院の聖堂には大抵の場合廻廊が附属し、その空間は四角形をとる(△や○の廻廊があるか知らない)。東西南北四面の廊下に囲まれることになるが、それらを全ていっぺんに見ることはできるのか。


角からならみえ易い


真ん中からも



書見台兼スタンド



福音書記者が著述する場面では、譜面台のようなスタンドがよく描かれている。この天井画のように著述ではなく書見台として使用することもある。


かなり工芸的なスタンド


その中で、これはとても珍しい。


串刺し



木々と岩々


『ブレンダンとケルズの書』のDVDは日本語版は発売していないので、英語の字幕を見直している。


修道院の塀の外に出たことのない主人公が、あるものを探しに出なければならなくなり、けれども恐ろしい森に出ることができず、だれも探し物のある所を知らないとき、エイダン修道士は次のように言う科白がある。


他のどこよりも森のなかで木々から岩々からより多く学ぶだろう。


ベルナルドゥス!


森の中の木々と岩々



気付かれないシーン


『大いなる沈黙へ』が大ヒットしているという記事が出ていた。


『大いなる沈黙へ』異例の大ヒット 快進撃の理由は?


複数のTwitterやblogから明らかなように、映画をみていた観客はどいういうわけか(信者にはどうみても見えない)高齢者が目立った。どうして高齢者に受けるのか理由を聞きたいところである。前に『おくりびと』という映画が公開されたとき、納棺師になりたいという高齢者が増えたという。そのノリかも。


『大いなる沈黙へ』を注意深くみていると、なにげない場面で最期を迎えようとしている修道士がいることがわかる。後半になってその修道士が亡くなったことがわかる場面が一瞬だけ出てくる。監督はそのようなハプニングを利用するような考えを持っていないので、ほとんど気付かれていないようである(そうでなければ、こういうシーンを見逃さない高齢者によって数多くツィートされているはず)。


修道士の棺


シャルトルーズ修道院慣習律

 第12章 (死に近づいた)病人を見舞うことについて

 第13章 亡くなった人をどう扱うか

 第14章 同じく死者への配慮について

 第22章 修練者について



一切を退け


映画『大いなる沈黙へ』のなかで繰返しでてきたメッセージ――


一切を退け私に従わぬ者は弟子にはなれぬ。


エックハルトは一切というとき、神をも退けなければ弟子になれない、と言うであろう。映画を観て「一切」を「俗世」の意味で捉えてしまったら、何も得るところはない。


ちょうど読んでいた本に次の一節があった。


群衆の瀆聖的眼差しに対しては聖なるものを隠し、聖性を探求し、子供のような思考形態から解放され、単純な真理を観るために必要な霊の鋭いまなざしを獲得した人々には、それを顕わにする……

エディット・シュタイン、神認識のさまざまな道

現象学からスコラ学へ、206ページ、中山善樹訳、九州大学出版会、1986年


エディット・シュタインはフッサールのもとで現象学を会得し、その後にカトリックへと転向した経歴があるので、著作を読んでみたい。


聖堂に乳香がたちこめる


聖職者席



小さな世界


標準的なカトゥルジオ会の修道士独居室、ヴィオレ・ル・デュクによる。シャルトルーズもだいたい同じ構成をとると思われる。


中庭の青い四角は6畳間の広さ。



西欧の修道院建築、188ページ、ブラウンフェルス/渡辺鴻訳、八坂書房、2009年



修道院の廃墟


修道院の廃墟


多くの修道院が廃墟となったままのこっている。ベルギーのワロン地方にも Villers-la-Ville にも壮大といえるような廃墟がある。



全盛期でさえ、幽霊が出たとハイスターバッハのカエサリウスは記録している。廃墟となるといちだんと夜ならば出そうな雰囲気になりそうであるが、穏やかな午後の陽射しのなかにあると、シトー会が好んだ環境ということもあり微睡みの雰囲気がある。


聖堂だったところ


天井に草が生えている。




アンブロシア



今年は花粉の飛散がひどく、ついに空気清浄機を導入した。効果は絶大で、部屋の中にいる限り花粉に悩まされることはない。


ギリシア神話で神々の食べ物とされている植物で、Ambro-は「神の」を意味する。ヴァラフリート・ストラボの『小さなハーブ園』にも植えられている植物であるが、ヴァラフリートはそれが神話の植物と同じなのか疑いを持っている。アンブロシアの効能について、酔ったときや(瀉血など)血が多く出た後に液体を補充するときに使うとヴァラフリートは記している。


ヴァラフリート・ストラボのハーブ園


 アンブロシア

  キンミズヒキの近くで立ち昇るそれは

  しばしアンブロジアと呼ばれる。

  その名ゆえ頻繁に賞賛するけれども、

  それが古代の書物で知られる

  アンブロジアと同じなのか大いに疑わしい。

  多くの医者は、酔ったり、

  体から多くの血が出て液体を体に

  追加するようなときに巧みに用いる。


Ambrosia (Rainfarn)


ヴァラフリートのアンブロシアはタンジー(Tancetum vulgare、ドイツ語でRainfarn、和名でヨモギギク)と考えられている。タンジーはキク科の多年草で、健胃、回虫駆除、偏頭痛に効果があるが、毒性も強いので注意が必要らしい。神々なら毒性は関係ないので健胃効果で大いに食べたのかもしれない。


神のアンブロシアが輝かしく賞賛される一方で、ブタクサもアンブロシア Ambrosia artemisiifolia とつけられている。こちらはキク科ブタクサ属、ブタクサ hogweed と名付けられたのはブタの飼料に使用しているためで、しかも杉や檜に次ぐ花粉症の原因として嫌われている植物である。同じアンブロシアでも、それこそ天と地ほどの違いがある。


Ambrosia artemisiifolia (ja.wikipedia)



忙しい修道院


モワサックのサン・ピエール旧修道院は『薔薇の名前』のイメージとは裏腹に人気の挙式スポットになっている。訪れたときも半日で4組が挙げていた。


廻廊で不意に出会うと一瞬何かの幻に思えてしまう。




ティンパヌムの前で集合写真を撮っているのをみると、そんな雰囲気は全くない。




ウイキョウ


珍しくオランダ産のフェンネルが入手できたというので、早速じゃがいもと共にスープになって夕ご飯に登場した。


和名でウイキョウ(茴香)、漢方薬というイメージなので食材という感覚はないが、ヨーロッパではごく普通のハーブで料理によく使う。


Fenchel, Feniculum Vulgare

ヴァラフリート・ストラボのハーブ園、ライヒェナウ


  伸ばした腕のようにのび枝分かれした若い枝をひろげる

  フェンネルの、素晴らしい評判について黙してはならぬ

  それはかなり甘味で、その香りと調和する

  もしも目が暗い影に見えなくされるとき良き助けとなり

  その種を母ヤギの乳と共に消化器系疾患に効き、

  根をワインと混ぜれば百日咳に効くであろう

ヴァラフリート・ストラボ、『小さなハーブ園』


calendar
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< October 2017 >>
sponsored links
selected entries
categories
archives
recent comment
links
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM