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蜜蜂と遠雷

いつもなら読むこともないジャンルで、受賞作(本屋大賞受賞というだけで読む気がなくなるのはなぜ?)、しかも今頃読んだのは、たまたま目の前にあったから。

 

人気作で、ネット上では大絶賛が多く、「音楽がきこえてくるよう」という感想も多い。本当?

 

 

登場人物たちは、いかにもきちんとキャラクター設定しました感が強い。作品のなかで山場の作り方や流れもマニュアル的。

 

「信じられないようなフォルテッシモ」でピアニッシモを聴かせる発想、「神様から愛された」のに、誰一人として神様に返そうとしない、そんな演奏をバッハやグールドが聴いたら怒りそう。「遠雷」が暗示する深さや深淵が全くない。

 

作者は「音楽を言葉で表現する」というテーマに挑戦したと(TV番組のインタビューで)語っているが、後半に進むにつれて音楽の記述が平凡になっていき、熱が入らなくなっている。コンクールだったら一次予選で敗退するレベル、この500ページの大作よりも短編の『ノヴェレ』や『青い花』のほうがずっと音楽そのものが感じられた。例えばこんな文章、

 

ショパンのバルカローレ ほとんどあらゆる状態と生き方がある至福な瞬間を持つものだ。……この至福な瞬間をショパンは舟歌のなかで見事に鳴り響かせたので、神々すらもそれを聴けば、長い夏の夜にゴンドラのなかに身を横たえたくなるであろう

漂泊者とその影 160

 

演奏中に宇宙を漂う場面は、ラッセンの絵(宇宙空間を泳ぐイルカ)を思い出した。異次元空間が出てくるのだからこの小説はライトノベルに分類される。実際にコンクールで優勝経験のある人が小説を書いたら、まるで違ったものになると思える。

 

架空の作品『春と修羅』、ヴァントゥイユのパロディ?

 

亡くなられた末吉先生がパリで審査員をつとめた音楽コンクールでの苦労を語られたことがあった。時差ぼけのまま、一日中同じ曲目で同じような演奏を聴かなければならないので眠くて仕方ないのに、眠ったら演奏者から「先生あのとき眠ってましたね」と一生言われるから眠れないのがとにかく辛いということだった。

 

超人的努力で聴き通した審査員も表彰したほうがよい。

 

『4分33秒』を課題曲にするのがいいかも。というより、作者の考えに最も近い作品に思える。


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  • 2019.06.28 Friday
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