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Gregorius praesul


セクエンティアとディアロゴスの共演となったCD、Chant Wars はグレゴリオ聖歌を巡ってカロリング朝グローバリズムに対抗する各地の聖歌伝統という構成である。


Chant wars

Sequentia & Dialogos


2004年、フォントヴロウ修道院で収録


グレゴリオ聖歌は教皇大グレゴリウスの名を冠しているが、成立はカロリング時代でカール大帝の積極的な援助があった。この当時既に聖歌をグレゴリウスに結びつける伝説が伝えられていたようである。


教皇大グレゴリウス、レギストルム・グレゴリイの画家


この写本画はグレゴリオ聖歌の由来、鳩=聖霊を通じてグレゴリウスが記録したという伝説に基づいて、先日のレギストルム・グレゴリイの画家が『グレゴリウス書簡集』の挿画として描いたもの。


アルバムの1曲目 Gregorius praesul 「司教グレゴリウス」(CD歌詞の各国語での表記)である。

Gregorius praesul

Trope, hexameter, prologus antiphonarii

Lucca, Bibl. capitolare ms. 490, 8-9c (melody: Paris, BNF ms. lat. 776, 11c)


ピュタゴラス音律に基づいたアンティフォナはハーモニーがとても美しい。


内容はグレゴリウスの事蹟を歌ったもので、テキストは8〜9世紀、CDの解説にはないがフランク王領内で書かれたように思う。それというのも、たまたま別の本を読んでいたときに次のような記述を見いだしたからであった。


Praesul(支配者)この語が司祭を意味する前に、軍神マルスの祝祭におけるサリー族の舞踊指揮者を指していた。

「クローヴィス」p92、ルネ・ミュソ=グラール、加納修訳、文庫クセジュ831


アルバムにはベネヴェント、ザンクト・ガレン、ローマ、東ローマ、ミラノなど(地方の)聖歌が収録され、最後は典型的なフランク聖歌 Christus vincit で締めくくられる。


Quand le chant gregorien s'appelait chant messin

Scola Metensis


2003年、ゴルツェの旧修道院聖堂で収録


グレゴリオ聖歌はフランク聖歌、さらに具体的にはメッスのゴルツェ聖歌ではないのか?という問いかけをするアルバム。カール大帝によるフランク領内の聖歌を統一する改革は、メッスのゴルツェ修道院長クロデガングが主導した改革がおおいに寄与したという歴史的な事情が背景にある。先の Chant Wars とは別のアプローチ。

グレゴリオ=ゴルツェ聖歌を復元し、旋法別に収録。

Chant wars ではヴィルトーゾな歌唱が展開されたが、こちらは抑制のきいた歌唱である。聖歌ゆかりのゴルツェの聖堂での収録であるが、クロデガングの時代の聖堂は現存せず。12世紀末、ゴシックへの過渡期の建築。


どちらも素晴らしいアルバムであるけれども、日本のブログで取り上げられたことはないようであった。


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  • 2017.09.03 Sunday
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